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火影VS三途の川の妖怪渡し守

火影VS三途の川の渡し守

第1夜

ここは地獄の入り口、
どんよりして、決して晴れることのない空のした。
漆黒の水をたたえた、ここは三途の川である。
その渡し場に、1匹の妖怪がたたずんでいる。
きょうはいやにお客が少ない。最近は無店舗風俗が出張りだしたから、こちのような店舗型ははやらないのかな。デリヘルの受付にでも転職しようかな・・・・・・
あらぬことを想像する妖怪渡し守であった。
そこへ、一人の美女が、姿をちら、ちらっと。
ここちよい、まさに鈴を鳴らしたような、かほそい声で。
「あのぉー。こちらでしょうか、川を渡していただくのは。」
「おぅよ、渡し賃は6文だぜ。」
「え、6円なの、安いわね。」
お金のことになると急に声の調子が変わる。見かけによらず、すれているようだ。
「6円じゃない、6文だ、早く銭出せ。」
焦り気味に渡し守、ほざく。
「なければ身ぐるみはいで、脱衣ばばあに渡せば6文になる。」
「早く裸になれ」
「イヤーッ」
あられもない痴態がこの地獄入り口で展開される。

そこへわれらが火影隊長現場到着。
「ふぅ、遅れたが何とか間に合った。」
「やい、妖怪、そこの娘をかえせ。いま。必死で蘇生の秘術を使っているんだが、肝心の魂が戻らなきゃ生き返らないんだ」
(注、蘇生の秘術とは火影得意の人工呼吸・心臓マッサージで、消防署で救急講習を受けるとイザというとき役に立つ)
「いやだ、かえしてやんない。」
「生意気言うな。」
ここ地獄の入り口で火影VS妖怪渡し守との壮絶なバトル1回戦がはじまった。
最初はまず鼻ぐすり、妖怪はお金の匂いに弱い。つまり買収である。
「ところでどうだ、6文やるから、娘をかえしてくれないか?」
「いやだ、せっかく裸にひんむいたいいとこなのに」

 古物商へ行けば1文100円ぐらいで手に入る
 しかし、案外のエロ妖怪である。値上げを要求してきた。
「これほどの上玉はないぜ、1000文よこせばかえしてやるよ」
「くそー、もちあわせが足りんワイ」
第1回戦火影の敗退。
 つづく 18:30
19:00より町会長会議出席のためやむなく中断
子鬼猫よろしこ


ひとみさんから拝借「子鬼猫よろしこ」ちゃんです。ゲスト出演。
(本日記内容と今のところ関係ありません)

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第2夜

腕尽く
「くそー、もちあわせが足りんワイ」
第2・3回戦開始

「それならば秘術お色けの術で」
「闇の女神よわれに若さと美貌を賜わんことを」燃えろ萌えろもえろモエろ!変ーーー身!
。゜.☆ ドロン!

激しいストロボの光・発電機の照明と非常用発炎筒
「Ψ( `▽´ )Ψケケケケ まぶーうしい。なんだそれは。なんの魔法か。ケケ」
大音量のミュージックサイレンとともにコスプレクィーン登場
はではで衣装にケバケバしい化粧、
ドッスン!!体重オーバーでお立ち台こわれる。
しかたなく地べたに降り、仕切りなおし。
気を落ち着け、おもいっきりハイトーンの優しい声で。
「どーぉ、一緒にあそばない。一緒に踊りましょうよ」声までは練習していなかった。ばれるかも。
「林原めぐみデース、スレイヤーズよ」毎晩練習しているので、ステップも大丈夫。

しかしいいところで光がおさまった。安物の照明で球が切れた?

「よくみると、ニューハーフではないか。わしゃ、ピュアでないと好かんのじゃ。」
「しまった」
「ナルトのものまねではやはり通ぜぬか。最近足はつるし、腰も痛くって」
「それならばイケメンの術で」
------註2004年05月09日火影の町会長日記「イケメンの術の巻」
。゜.☆ ドロン!

「ケケケケ なんだそりゃ、わしや子供じゃないぞ。だまされるものか。ケケケ」
「完全に無視された。くやしーぃ。」
教訓「イケメンの術は人間にしかつうじない」
「しかたがない。火影最後の秘術を、これだけは公開したくなかったのだが、知的イメージが崩れてしまう。」
「何よりはずかしいではないか」
「しかし、他に手段がないのならしかたがない」
「よっこらしょ、まず上着をぬいでっと」
「腕尽くの術開始!」この上なく単純そのもの

「もえもえーわれに武蔵のパワーを」変ーーー身!
☆、。・:*:・゚`★ ドロン!
むきむきマッチョちょっと太めマン登場!

腕力攻撃開始。組み付いて相撲取り。がっぷり四つ。
「あれっ様子がおかしい」
超人ハルクかトロルのような緑色の巨躯だったのに、やわらかくなって縮みはじめた。オマケに色白になって。
「こっこの感触は!」
「けけーーきーすてききき。うれしーぃ」声が変わる。
妖怪の影が薄くなっていく。思わず、組み付いていた腕をはなしてしまう。
「これで成仏できるわ、わたしもともと女なの。抱きしめられてのろいが解けたわ。」
「ありがとう。もう渡し守の仕事やめるわ」ほう、再就職はどうするんだ?
「女をかえすわ。ただし6文は置いていってね。」
「ぶるころ大王におさめなっくちゃ、おこられるの。」
「いいよ」あっさりと手を引く。これでやっと帰れる。
「火影さん。」
「あぁはい。」様変わりの美女にあっけに取られ同然自失。
「イケメンの術すてきでしたわよン。呪いのせいで口では別のことをしゃべったけど、感じちゃったわ」思わず顔が赤くなってしまった。
「ひとこといっておくけど、あの女、リストカットよ。血の池地獄に沈めてやろう(サド女だ)と思ったんだけど、残念ね。
「はたして、すなおに帰るかしら」
「えっ!何」
 地上では、懸命の止血措置と輸血・人工呼吸・心臓マッサージが続いている。
続く
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第3夜(最終回)

火影VS三途の川の妖怪渡し守 3(完結篇)

「リストカット」
実は非常に重いテーマである。
この楽天日記に書くべきではないかもしれない。やめとけとのアドバイスも頂戴した。
しかし、書かなければならない理由が、私にはある。
それは、この日記を読んでほしい人がいるからだ。
本日天気のよい日曜日であるが、あえて出かけずに、書くことにする。
また今日もイベントキャンセルだ。

火影VS三途の川の妖怪渡し守 第三部、はじまりはじまり
「ひとこといっておくけど、あの女、リストカットよ。すなおに帰るかしら」
「えっなんだって。」
「やっちゃたのよ。まわりのせいだわ。」
「そうか、うすうすわかってはいたが、自損行為か。これはやっかいだ。」自損行為=救急専門用語、自殺のこと
「せっかく、渡し守と話をつけたのに、肝腎の本人が帰りたくないと」
 この地獄界では、だだをこねると体重が100倍の5トンぐらいになって、火影がいくらマッチョになっても動かせないのだ。
 そういえば、渡し守とのバトル中、目は開けているがピクリとも動かなかったな。
「しかたがない、残り少ないMP=マジックポイントを消費せねば。こりゃ下手すると帰れなくなるぞ。」
「そうよ、はやくしなければ手遅れになるわ。」
「あなたが大好きだからヒントを教えてあげる」美女を前にしてデレッとできないのもつらい。
「おう、それはありがたい。してなんと申されるか?」かっこつけちゃって
「名前がトマトちゃんよ、ハンドルネームだけど。」
「周りの期待が大きく、それに答えられない自分自身がいやになったんだって。」
「わたしのいえるのはそれだけよーん。★ほ★か★げ★様、ウフッ」いまになって、イケメンの術が効き出したようだ。
「ふーむ、それはかたじけない。」

「それではさらばじゃ。用がすんだらどこへなりと立ち去るがよい」
 役目があるので、もったいないが、これはけじめだ。元妖怪との恋も捨てたものではないが。

「ばいばい、がんばってね」あぁー去っていく。

 三途の川に渡し守がいなくなると、あとの人はどうして渡るのだろう。泳いでいくのだろうか。
 あらぬことを心配しながら。どうでもいいや。
 さあ気を取り直して、、と
 うむ、確かに目はあけているものの、動かないワイ。
 うーーん、確かに重い、これでは無理だ。
 いままで、沢山の人間を担いで救助したことがあるが、意識のないのが一番重いのだ。それといやがって抵抗するやつ、これは元気があるとして、搬送しないのだが。
 応援を呼ぼうにも、ここ地獄まで来れるレベルの隊員がいないので。孤軍奮闘。がんばらねば。

「トマトちゃーん」意識レベル300、応答なし。バイタルかすかになってきた。あぶない。

 よし、「火影忍法こころ移しの術」こころの中に入り込む。MP90消費。
☆、。・:*:・゚`★ ドロン!

「うおー真っ暗だ、トマトちゃん。どこにいるの」いたいた。
 すみっこでしゃがんでいる。すっかり子供の姿だ。

「なぁにおじちゃん。おにいさんだったかな、どっかでみたことあるよ。」そうだろうかなりの有名人だからな。

「おっトマトちゃんか。いっしょに帰ろう」
「いや、もう帰りたくない」
「どして」

「期待されるのが重荷になっちゃって、重たいの、こんなふうに」手が伸びて肩にかかってきた。
「おお、重い、肩の骨が折れてしまいそうだ。」5トンの重圧に必死で耐える火影。
 なんということだ、人の期待感がこれほどプレッシャーになるとは、これでは潰されて壊れてしまう。

「ムムム」
 尿管結石とか胆石の痛みのようだ、まさに七転八倒の苦しさだ。いやもっとつらい。
 こんな重圧のなかでは眠剤どころかモルヒネでもないと痛みに耐えられないだろう。

 現に火影もモルヒネを打ってもらったことがある。痛みがすーっと引き、眠ってしまった。しかし。クスリが切れると、また痛みが再開する。分量の調整が困難だ、なにせ続けると効果がなくなるので、劇薬もいいところだ。末期がんの痛み緩和にも使われる。

 そうだったのか。それほど苦しんでいたとは。
 いままで、知らなかった。
 心の病気の人に叱咤激励は禁句ときいた。
 これも最近まで知らなかった。

「それと、このあいだ病院へ言ったとき、精神科の先生によ、こいつは怠けてるだけだといわれたの。ものすごく傷ついた。」

 火影も今まで、自損行為の現場をいくつか経験してきた。
 この日記ではとてもかけないほど悲惨で残酷であるが、すこしだけ。

 リストカット(もし、やってしまったのなら、脇腹にあたる腕の内側を強く抑えると動脈止血できる)
 ビルの屋上から飛び降り。(体・骨がたがた)
 眠剤・安定剤・薬物の大量服用(糞尿垂れ流し)
 排気ガス(悲しい)
 車での入水(どざえもんはみにくいよ。肛門開くからね)
 列車飛び込み(ばらばら肉片を集めるのはつらい作業、なぜっと情けなくなる)

 ほかにも沢山あるけど、

 単に言葉だけで命を大切にとは、励まされてもかえって本人の負担になってしまいがち。
 自殺する当人のこころを理解したいけれど、とてもむつかしい。時間もかかる。
 ただわかってほしいことは、いのちを大切にしたいと思い、行動している人たちがいることを伝えたい。

 119通報があり、たいした危険性がないと予想できても、出場するときは、決して面倒だと思わない。
 いってみなければわかないことがあるからだ。
 たとえ、まちがいや偽通報であっても。
 むしろそれがわかったときほっとする。
 たいしたことなくて良かったと。

 火影は、元ニチボー貝塚の女子バレー=回転レシーブオンリーの繰返し
 アタックなんか縁のない地味な仕事。
 ひろって拾って拾いまくる。
   落とせば命が失われる。

 そして、落ちてしまった命の残骸を集めることほどつらいことはない。
 なおる怪我ならいい。なおる病気ならいい。しかし、失われたまま、なおらない物事があまりにも多い。

 火影の現職時代はそんな毎日だった。

 いまでも日夜ががんばっている、消防救急隊の現職のみなさまにご苦労様、おつかれさまといいたい。

 閑話休題
「トマトちゃん。わたしはだーれ?」
「知ってるよ。火影さんでしょ。テレビで見たよ。」よかった。知ってる。
 さきほどのイケメンの術もまだ効いているようだ。子供にはとくによく効く。
「おかしいね、ヒゲがないよ。しかもおにいちゃんだし。」むむ、あぶない。忘れてきた。
「そうこの前、代替わりしたんで若返っちゃったんだ。」苦し紛れの答弁である。
「とにかく、カカシ先生やナルト・サクラちゃんもみんなトマトちゃんが来るのを待ってるよ。いっしょに写真とろう。サスケもいるよ」もう少しだ。かなり軽くなった。体重100キロ。
「ホントに?一回コスプレしたかったんだ。木の葉の里もいっぺん行きたかった。」うまくいった。体重50キロ。
「さあもう一度手を出してごらん」おぅー軽い。自分の意思で動かしている。
「おててつないで、帰ろう」
「うん」

ICU集中治療室で
 おおー血圧上がってきた。奇跡だ、自発呼吸もはじまった。
 もう安心。

別室で
 ふーっ疲れた。なんとか助かってよかった。後は本人と周りの方に任せるしか・・・・
 MP残量ちょうどゼロ。
 今回はたまたま、ナルトのテレビを見て入れてくれたから、うまくいったが、この次はソウとも限らない。心の病気についても、理解できるようにもっと勉強・修行しなければ。
 ・・・しなければならないことばかり。忙しいことだ。ブツブツ。・・・今日もウツになる火影であった。

           火影VS三途の川の妖怪渡し守 全巻おしまい


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